オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
mouretsu.netホームへ作者プロフィールへはじめにページへ

旅めぐり脱線百話:Su-035列車

南海・極楽線?

no.060●16.03.13
メイン060写真
  ◎むせ返るような新緑のなか、 終着駅に到着した特急「こうや」号。(極楽橋駅)

 霊場 高野山に向かう、南海電鉄の高野線は「高野下」から終点の「極楽橋」までは、トンネルの多さもさる事ながら、なんと50パーミルと云う国内でも最急勾配クラスの区間が続く。距離にして10Km強。ところがこの間に要する時間は何と30分。時速わずか5Kmとゆー、歩く速度とほぼ同じ超鈍足。


 やがて終点に近づくころ、車内では女性アナウンスがひとつの短歌を詠みはじめる。あの多情多感で名を馳せた与謝野晶子が義兄の僧侶を思って詠んだ官能的な一首である。

 '柔肌の熱き血潮に触れもみで 寂しからずや道を説く君'

 多くの信者に'彼岸の極楽'へのお導きを説く貴方、女体の奥ふかくにある'此岸の極楽'を知らずして、嗚呼、お可愛想に…。
 いくら仏に仕える身といえども、肉体は女を求めるオノコ。
毎夜襲い来る煩悩をいかに鎮めておられるのでしょう。

 実はこの短歌のアナウンスは、南海電鉄社長の巧みな乗客サービスであったのは知る人ぞ知る…である。
 なにしろ超鈍足のこの区間では、車窓の眺めにも退屈するに違いない。ああ乗客に申し訳ない!何とか斬新で人々の興味をそそるサービス対策は無いのかと。そこで発案されたのが高野山にも縁があり、歌壇を騒然とさせた、あのエロチシズム漂う「与謝野晶子・短歌」案ではないかと、オッチャン鉄ちゃんはソーゾーするのである。

 難関の急勾配を登り切った特急「こうや」も乗客を悦ばせる大役を果し、ホッと一息付きながら
「やっぱり極楽はええのう」
とつぶやくかのように、シズ、シズと無事、駅構内に進入するのであった。


no.060_2
◎特急列車も、普通列車も、発車まで'ホッ'とひと休み。(極楽橋駅)

no.060_3
◎大阪なんば駅に向けて"出発進行!"(極楽橋駅)

no.060_4
◎高野山中にある下古沢駅は、ちょっとした秘境駅のムードが漂う。(下古沢駅)

no.060_5
◎乗客は下古沢駅にたどり着くだけでも一苦労である。(下古沢駅)

no.060_6
◎「世界文化遺産」のノボリがひっそりと……。(下古沢駅)

※車内の乗客サービスは2007年当時のものです。

◎写真の人物はイメージです。文中の登場人物とは一切関係ありません。
◎南海電鉄・高野線(2004.07.04~16撮影 Cr/2007.08.06)


no.059no.059へ no.061へno.061