オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:Su-026c列車

葡  萄
その3

no.047●14.09.09
メイン047写真
  ◎奈良盆地を一路、大阪・阿倍野橋にむかい疾駆する特急列車。(二上山~二上神社口)

 ああ、思い出した。
中学2年のときに真奈美の誕生日に呼ばれた事があったなぁ。
ちょっと大人びたピンクのワンピース姿の胸のふくらみに、ドキッとした覚えがある。他に数人の女の子が来ていたが、男子はたしか僕だけだったような気がする。

 それと真奈美の部屋にはピアノがあって、知らない曲を数曲聴かされた気憶があるなぁ。上手だったかどうかはもう忘れたけど…。
僕がプレゼントしたのは確か、大きなハート型のチョコレートだった。ピンクのリボンで飾られた可愛いケースでわたすと
「ありがとう!」ってうれしそうな顔で、ジッと僕の顔をみながら、手を握られたっけ。

 あっ、もうすぐ次の駅だ。
「まもなく、二上山、二上山でございます」
さすがはシーズン中である。
軽装のハイキング姿の乗客が何人も下車した。
 めっきり乗客の少なくなった車内から、真奈美のすがたが一段とよく見えるようになった。
「次は二上神社口でございます」

 あれぇ、口元のあんなところにホクロがあったかなぁ。
たしか二人で二上山にハイキングに行った時だった。
雄岳の頂上で、彼女の手作りのお弁当を一緒に食べて、帰りの林の木陰で初めてのキスをしたんだったよなぁ。ウフフッ…。
 でも、ホクロがあったかなぁ?

 電車は徐々にスピードを下げ、やがて「当麻寺」に停車した。
中将姫で有名な飛鳥時代の古刹'当麻寺'が駅のちかくにある。
 伝説では天平時代のお姫様、中将姫の織ったドでかい曼荼羅の織物が、今でも当麻寺にあるらしい。
「ツムラのお薬のマークになってるお姫様よ」
って、昔、真奈美が云ってたなぁ。なんで彼女はそんなことを知ってたんだろう。あっ、そうか彼女の家は古くからの薬屋さんだったよな。
 そう云えば彼女の家に遊びにいったとき、お母さんが出してくれたお菓子と子供用の薬用健康ワイン。あのワイン、あまりおいしくなかったなぁ、薬っぽくて、ハハハッ。
 でも、あれはヒョッとしてウチの葡萄で作ったワインじゃないだろうな…。

 えっ、また彼女、口を指さして何か行ってる。
あっ、もうすぐ次の駅だ。マイク、マイクっ。
「まもなく磐城、磐城です」…
あ~あ、また真奈美に笑われちゃった。(続く)

no.047_02
◎二上山麓を軽快に走る。(二上山~二上神社口)

no.047_03
◎牡丹と中将姫で有名な当麻寺への最寄り駅❺「当麻寺駅」
   開業:昭和4年3月29日・奈良県北葛城郡當麻町當麻54-2

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◎二上山の美しい夕暮れが、間近に見える❻「磐城駅」
   開業:昭和4年3月29日・奈良県北葛城郡當麻町長尾220-2

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◎夕日に包まれる大和路をゆく列車。

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◎二上山のつけ根にひっそりと佇む'加守'の家なみ。

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◎相撲発祥の地、當麻町にドドンとそびえ立つ「相撲館」。

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◎古代の横綱"當麻の蹴速"を祀る「蹴速塚」

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●中将姫伝説が残る「当麻寺」の仁王門。

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●「当麻寺」境内に咲き誇る"藤"と"牡丹"。

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●並びたつ、「東塔」と「西塔」。
  東西二つの塔が現存するのは当麻寺だけである。

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●門前の釜めし店。

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●美しい夕暮れに包まれる磐城駅。

◎近畿日本鉄道・南大阪線(2009.02.08~2014.06.16撮影、Cr/2008.11.04)                        
※この物話はフィクションであり、使用した写真の建築物、施設等には一切関係ありません。



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