オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:Su-024a列車

天下の名湯

no.042●14.05.20
      ◎緑におおわれた深い渓谷に架けられた「出山の鉄橋」を電車はゆっくりと渡る。(塔ノ沢~大平台)


「箱根の山は何県にあるか知っている人?」
「はい先生、天下のケンです!」

 かつて幼いオッチャンが愛読した山根赤鬼の漫画'よたろう君'の一コマである。
 朝から晩まで漫画ばっかり読んでいたオッチャンはやがてアホ人間となり、60才を過ぎた今、更に痴呆症まで完備。いまや世界に誇る堂々たる純正アホの大家となってしまった。

 その天下のケンで活躍するのが、わが国屈指の登山鉄道、箱根登山鉄道である。大正8年に開通したこの鉄道は全国から多くの湯治客を集め、その風光明媚で豊富な温泉の湧く箱根の名を、一躍日本中に浸透させた。
 夏は避暑地として全国から家族連れや団体客が、そして冬には可愛い彼女とコッソリ訪れる不倫の男性が、山影の露天風呂などに入りながら、ヒシと抱きよせて愛を確かめ、さらに二人さし向かいでコタツに入り、熱燗でキュッと…、などという、非常に羨ましい光景を展開させるのであった。

 列車は車輪と、レールの傾斜との摩擦数値の限界である80パーミルという急勾配を歯車やロープなどを使わない、通常の走行方式でよじ登り、又ある時は'スイッチバック'とよばれる前進と後退をくり返しながらの走行方法で、山の斜面を這いつくばるがごとく登る。
 しかし、そのつど持ち場を交代する運転手と車掌は列車の前に行ったり、後ろに移動をしたりと大忙し。おまけに非常時にそなえブレーキだけでも、な、なんと4種類も装備。それはもう運転の苦労もチョー大変なのである。

 連日の猛暑の大阪を逃れ、たどり着いたのは肌寒いほどのここ箱根強羅。天下の名湯にどっぷりと全身を沈めると、さすがにわが重度の痴呆症脳細胞にも、僅かながらの血液が流入した。
「おう~~~快感!」
思わずニッコリ微笑む純正アホ人間のオッチャンの頭上に、夕日をあびた箱根のカラスが鳴いた。アホ~、アホ~…。

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◎スイッチバック設備のある大平台駅で交換する上り下りの列車。(大平台駅)

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◎箱根山中の急勾配・急カーブをよじ登る登山電車。(小涌谷~宮の下)

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◎山峡の駅に夕闇がしのび寄る。(宮の下駅)

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◎オバさんハイカーの姿もチラホラと……。(宮の下駅)

no.042_6
◎うっそうとした山の木々にも、たそがれが迫る。(塔ノ沢駅)

  ◎写真の人物はイメージです。文中の登場人物とは一切関係ありません。
  ◎箱根登山鉄道(2003.09.28撮影、Cr/2009.02.20)


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