オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:Sp-023b列車

デザイン事務所・寺田屋
その2

no.039●14.04.08
  ◎大川端に咲き誇る、満開の桜。(JR大阪環状線 桜ノ宮付近)


 どんよりとした重苦しい曇り空の昼下がりであった。

 近藤はピン、ポ~ンと鳴る事務所のインターホンの音で、飲みすぎと生オ〇コ25回連続発射の強度の疲労から、ようやく目覚めることが出来た。
「だっ、誰だ。こんな時間に…」
「はい!私、大日本リクルート社発行の求人誌'ハヨコイ'で御社のお名前を拝見。面接をお願いしたく、急きょ駆けつけた者でございますっ!」
'ウっ、ウザい…!こんな二日酔いの朝っパラから、いや、もう昼過ぎか…'近藤は江戸初期に作られたとゆー、床の間の水時計を見て云った。
'しかし、ワシはまだ眠いっ!それに大層疲れておる。なにしろ生オ〇コ×25連発じゃけん。もうすぐ、やり過ぎで死ぬかもしれんのだ。ワシの眠りを妨げるヤツなどは、いっそ子鉄の錆にしてくれようか…!'

 近藤は鹿の角の刀架に手を伸ばしかけたが、ふと、昨日届いた大日本リクルート社の求人広告の請求書を思いだし、しぶしぶ布団から抜け出した。

 ガチャン!ギギギー!戦国時代の城門風に改造した重厚な玄関ドアを開くと、浅黒い顔に、長い髪の毛を頭のうしろで一束に束ねた若い男が、スットボケた顔をニコッと微笑みながら、まるで川底のボウフラのようにゆらゆら揺れながら立っていた。
「………………アノ~~~っ、め、め、面接、お願いしますぅ~~~」
意味のない長い沈黙のあと、その若者はかぼそく呟くように名乗った。なんだこやつは…。近藤は更にいらだった。 「まっ、こちらへ…」
仕方なく、近藤は若者を時代モノの座敷机に案内すると、受け取った履歴書の封をオモムロに切った。そして、氏名の欄を見るや、にわかに眼の輝きが急変した。
「なに、坂本!……」チラっと近藤の両の眼は、床の間の刀架を見た。
「…して、名はっ!」両の眼はしっかと小虎を捉えた。
「龍……」履歴書を持ったまま上体は床の間に移動し、思わず手は子虎をつかみかけた。
「助…かっ」近藤は深いため息をもらすと、ジットリとにじんだ額の汗を拭った。
「なかなか仕事のできそうな、お名前。…して我が社に面接を希望された、そのワケとは…」
「はい、私、電博堂はじめ国内大手の広告代理店を、すでに20社近く面接させて頂いたのですが、すべて不合格でした。うううっ…。
 このまま、郷里の土佐へオメオメと引き下がるワケにも参りません…」
「うむ、うむ、それもそうじゃ…」
「そこで、仕方なく、当面そこらのデザイン会社に席を置き、再度…」
「あいや!待たれいっ!そこもと、今なんと申された?」
「はっっ!何か…」
「確か、仕方なくそこらの…とか?」

プツンっ!何かが切れる音がした。
「だっ、黙らっしゃい!ウ~~~ヌッ、云わせておけば無礼千万!!!」
云うが早いか、遠藤の上体は一瞬床の間に飛び、名刀虎鉄のバッタもん、子虎のサヤをシッカと握った。
 眼にも止まらぬ、チョー早業であった。
バッタもんとはいえ、流石、名刀子虎。降りそそぐ午後の日射しを受け、その刀身はギラリっと妖しい光を放った。
「い、いえっ、そんなつもりで云ったんと違いますっっっ!」
「黙れっ、黙れ!黙れ!問答無用じゃあああああああっ!」
「ぎえっ!ぎええええええええっ~~~!」
坂本は悲鳴をあげながら、部屋中を逃げまどった。

'チラっ'
玄関ドアの中ほどに、銀色に光る神々しいノブの画像が龍助の視界に入った。
「ああっ、助かった!!」
よろよろとやっとの思いでドアに近づいたその時、背中から尻にかけ、たすき掛けに'ザクッ'と布の切り裂かれる音がした。
「ウッ、ウググググッ、ボクはここで死ぬのか……!」
だが、身体はイッコウに痛くない。ただ、身体の後ろ側がいやに、スウ、スウとした。
 龍助は無我夢中でドアを開け、眼の前の階段を降りようとした。
その瞬間、ズルっと足を踏みはずし、身体がフワッと宙に浮いた。(続く)

no.039_2
◎桜の枝越しに、列車を見る。(JR大阪環状線 桜ノ宮付近)

no.039_3
◎大川の水面にも、春の空気が漂う。(JR大阪環状線 桜ノ宮付近)

no.039_4
◎一年中にぎわう天神橋商店街を、高架でひとまたぎ。(JR大阪環状線 天満駅付近)

no.039_5
◎天満宮の近くにある老舗料亭'相生楼'

no.039_6
◎'相生楼'の玄関わきに設けられた文豪・川端康成 生誕地の石碑。

no.039_7
◎天満宮の参道として栄えた、天神橋商店街。

no.039_8
◎「デザイン事務所・寺田屋」にほど近い天神橋商店街の'定食屋'。

  ◎写真の人物はイメージです。文中の登場人物とは一切関係ありません。
  ◎(2004.04.01~2014.02.23撮影、Cr/2012.12.17)


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