オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:A-020a列車

肛門科へ行こう
その1

no.026●13.10.08
メイン026写真
  ◎好村の自宅の最寄り駅(阪急・淡路駅)では京都線と千里線が合流する。
   その複雑な線路配置は、多くの鉄道ファンを魅了する。(淡路駅)


 ふと冬の到来を予感させる、ある朝のこと、不吉な予感に目覚めた好村は、生あたたかい鮮血にべっとり染まっている自分のパンツに気づいた。

「ゲゲッ!この肛門からの大量の出血はなんだ?ひょっとして大腸ガン?」
元来、慢性の痔の大家で、まだ30台後半の気の小さな経営者、好村は自分の会社が暗礁に乗りあげ、明日をも知れぬその前途に大きな不安を感じていた。
「この出血は決して単なる痔ではあるまい!ああっ、会社もダメだし、ついに大腸ガンにまでなってしまった。オレの人生はもう終わりだ!いっそ死んでしまおう」
「ええっ、じゃあ私は、ど、どうすればいいの?そうだ、私も死ぬわ。二人で一緒に死ぬわ!」

 マクドの店内で二人して大口を開け100円バーガーと大量のポテトを口いっぱいにくわえたまま、絶望のふちに立たされた不幸な夫婦は手をとりあって号泣するのであった。


 子供もの頃から大の怖がりの好村は医者が大嫌いだった。
なにより注射が死ぬほど怖かった。太い注射器の先端にキラリと光る鋭くとがった注射針を見たとたん
「いやだ、怖いよぉ」
と町医者の診察室を這いずって逃げ回った。
 やがて長じるにつれ立派な変態性色情狂に変身を遂げた好村は、艶めかしいナースファションに魅せられ見事な'看護婦系病院マニア'に豹変した。

「先生!大変なんです!か、身体の具合が…!」
ほんのちょっとした体調の変化にも、すぐさま病院を訪れる好村は
「う~む、どこにも異常はないが…。しいて病名を付けるなら'神経性病気願望症'ですかな」などと医者に診断される始末。
それでも「先生!何とかお願いします。せめて点滴だけでも…」
年配の医者は仕方なさそうに
「じゃあ、みゆきクン、ビタミンの点滴を用意して」
「は、はい。…では、こちらの病室にきてください。お洋服を脱いでこのカゴに入れてくださいネ」
 がらんとした広い病室にはベッドだけがズラリと並んでいたが、好村たち以外には人影はなかった。
「今日は僕一人だけですね」
「そ、そうですね。気を使わずにゆっくりとリラックスしてくださいね」
 みゆきと呼ばれた、まだ若く愛らしい新人の看護婦は器具のあつかいに慣れないせいか、手さばきがぎこちない。それに好村への対応もどこかオドオドとしている。
 好村はさっさと自分の服を脱ぎだしたが、さすがにズボンのチャックを下ろすときは、彼女のクリクリとした愛らしい目線が気になった。
「この診察着に着替えてくださいね」
差しだした彼女の指先は緊張のせいか微かに震えている。
「看護婦さんになったのは最近?」
「はい。2日前です」
「じゃあ、それまでは?」
「養老院の介護をしていました」
「ああ、どうりで…」
「はい、お年寄りは得意なんですが、まだ病院の患者さんには慣れなくて…どうぞベッドに横になって、腕を出してください」

 初々しい新人看護婦の点滴の針を持つ手が震える。
「痛くないですよ。ちょっとガマンして下さいネ…。
血管はどこかなぁ~。これかな?…ああっ、ここだわ。ブスッ。
あっ、どうしょう、違うところを射しちゃった!すっ、すいません!
もう一度…、ブスッ。あ~っ!また間違えちゃった!…せっ、先生~~!」
                             (続く)

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◎大阪地下鉄・堺筋線と相互乗り入れするため、阪急、地下鉄、二社の車輛が入り乱れる。(淡路駅)

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◎北千里行きのローカルが発車する。(淡路駅)

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◎青空に阪急マル―ンと白い屋根の対比が美しい。(上新庄~相川/神崎川鉄橋)

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◎安威川鉄橋では阪急電車の美しい姿が鑑賞できる。(相川~正雀)


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◎川の岸辺では、のどかな釣り風景が見られる。(相川~正雀)

  阪急電鉄・京都本線(2009.10.18撮影、Cr/2008.11.20)


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