オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:A-019b列車

相馬商店

no.025●13.09.24
メイン025写真
  ◎小雨が街をより美しく見せる(末広町付近)


 「え~、岩巻農協・壮年団の皆様、お早うございま~す。
本日皆さまをご案内させて頂きます、'名門北海スルメ観光バス'のガイド、白鳥井麗子でございま~す」

 昨夜の宴会でまだ目覚め切っていない壮年団員の耳に、えも云われぬハスキーな声が響いた。
 思わず見上げた二日酔いのオッチャン達が目にしたのは、年の頃なら27、8歳、色白、もち肌、黒目勝ちのヒトミに、やや小太りながら、キュツと締まったウエストにスラッとした長い足。
 そしてオッチャン達全員の視線を釘付けにしたのが、100センチ、Kカップは優にあるその豊かすぎる胸である。全員の目は点になっていた。

「え~、函館は江戸時代末期、長崎、横浜と共に開港され、その異国情緒溢れるエキゾチックな雰囲気は、いまや年代を問わず、大変な人気でございます」
 突然バスがガタン、ガタンと振動した。道路が工事中のようである。
「ああ~っ」
麗子嬢の足元がふらつき、ピンクのルージュに彩られたぽっちゃりした唇から、思わずうめくような小声が漏れた。
 と同時にあの昭和新山のごとく豊かに盛り上がった胸がユサリと音をたてて揺れ動いたのである。乗客全員のゴクリと唾を飲む音が車内に響きわたった。
「おお~!」
「たまらねっスッ!」
あまりの感動に涙する者さえいた。

「え~、失礼いたしました。では皆様、正面を走るチンチン電車は函館市交通局の8000形、1962年から新潟鐵工所で製造されました。そしてその電車越しに見えますのは、文久三年開業の米穀商、相馬商店の社屋でございます。え~、この建物は大正五年に建設されました、ドーマー窓を持つルネッサンス様式の木造西洋館でございまして…(誰も聞いていない)。
 え~、今夜は当社におきまして函館山スペシャルナイトツアーをご用意いたしております。ご案内は私、白鳥井麗子でございます。ご希望の方はいらっしゃいますかぁ~?」
「イグ~!イグ~!」
「ワシもイグ~!絶対イグ~!」
「死んでもイグけん~!」
いまや壮年団はコーフンのルツボと化していた。
「全員ご参加ですね。有難うございますぅ~!え~、では皆様、そろそろトイレ休憩とさせて頂きます。あ、バックオーライ!ピッ、ピッ、ピッー!」

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◎古風な建物の横をモダンな電車が走りすぎる(末広町付近)

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◎雨にぬれた道路にライトが光る(末広町付近)

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◎新と旧(末広町付近)

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◎メルヘンな風景(末広町付近)

  ◎函館市交通局(2003.08.09撮影、 Cr/2007.09.11)


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