オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
mouretsu.netホームへ作者プロフィールへはじめにページへ

旅めぐり脱線百話:Su-017c列車

湖畔のたそがれ その③
幼な友だち

no.021●13.07.30
メイン021写真
  ◎蝉しぐれの真夏の穴太駅(穴太駅)


 「絵里ちゃん、ほらっ、琵琶湖のむこうに小さく近江富士が見える…。 手前を走る電車は、僕の家の前から続いている京阪・石山坂本線の600形だよ。かわいいだろ。古い300形を改造して造られたんだ。小さい頃からあの電車、大好きなんだ」
「そういえば、雄太くんって昔から鉄チャンだったわね。じゃあ私と電車とどっちが好き?」
「それは絵里に決まってるだろ」

 小学生の同級生、絵里はいちばんの仲よしだ。それに高校生になってからの絵里はどんどん綺麗になっていく。時々うっとり見とれるほどだ。そしてあの胸、あんなに大きくなって、それにいくら夏だからって薄いTシャツの胸元が開きすぎだよ。
「雄太くん、いやらしいわよ。絵里の胸ばっかりジロジロ見て!
ねぇ、一度さわりたい?…アッハハハ、まっ赤になってる。
いいわよ、さわっても。だって絵里、雄太くんが大好きなんだもん」
「ふーんだ!さわりたくなんか無いよ…。それより絵里、歩いて穴太(あのお)駅まで行こうか」

 平安時代の初め、唐の天台教学を学んだ伝教大師・最澄は比叡山の奥ふかく延暦寺をひらき、天台宗は天皇や貴族の崇拝をうけ隆盛を極めた。
 延暦寺の門前町として栄えた坂本の町衆として、その土木技術で名を馳せたのが'穴太衆'である

「あ~、やっと駅に着いたネ」
 夏の終わりの穴太駅は人影もなく、しずまり返ったホームにただ蝉の音だけが鳴りつづけていた。

「もう絵里、のどがカラカラ。雄太くん、お茶をちょうだい…あっ、大変!こぼしちゃった!雄太くんハンカチ、ハンカチ!早く拭いてぇ」
「何やってんだよ。胸のまわりがビショビショだよ」
 あっヤバイ!絵理の胸がまる見えだ!
うわぁ、レースの付いたピンクのブラジャー!ヤバすぎるよ。
「雄太くん!」
 突然、雄太は絵里の両腕に抱かれた。ルージュに彩られた絵里の柔らかい唇が、舌が、緩やかにそして舐めるように雄太の唇をふさぎ、濡れた胸のふくらみが柔らかく雄太の体を押さえつける。

 遠くで鳴く蝉の音が聞こえた。雄太はうっとりと眼をとじ、このまま永久に息が止ってもいいと思うのだった。(続く)

no.021_2
◎琵琶湖に沿って走る石山坂本線(穴太~松ノ馬場)

no.021_3
◎緑に包まれた穴太駅(穴太駅)

no.021_4
◎涼しげな浴衣姿の人達もチラホラと…(浜大津駅付近)

no.021_5
◎浜大津駅に進入する800系列車(浜大津駅より撮影)

  ◎写真の人物はイメージです。文中の登場人物とは一切関係ありません。
  ◎京阪電気鉄道・石山坂本線(2004.08.08~14撮影、Cr/2008.11.20)


no.020no.020へ no.022へno.022