オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:W-008列車
渡り鳥は鉄道ファン

no.008●13.01.29
メイン008写真

 1940年(昭和15年)、太平洋戦争のさなかのことである。
 国鉄は日本の大動脈である、東海道本線浜松周辺の空襲による軍需輸送の中断を恐れ、急きょ浜名湖をグルリと取り囲むように迂回路線を建設した。二俣線である。昭和62年、民営化されたこの路線は「天竜浜名湖鉄道」と命名された。

 浜名湖は太古、大きな湾であったが砂州などが発達し、外海である遠州灘と分離され、やがて海跡湖と呼ばれる湖となった。ところが1498年の大地震により湖の南部はふたたび遠州灘とつながり、現在のかたちとなった。

 この地の気候が数々の魚貝の生息に最適であったからだろう、豊富な湖水の餌を求めて、浜名湖には毎年数多くの渡り鳥が訪れる。
 遠くシベリア方面から飛来するこの鳥たちは、大の鉄道ファンであるらしく、その人気スポットであるここ浜名湖佐久米駅にはなんと団体で押し寄せて来るのである。
 エサを求めて水面を飛び回る鳥。レールの上に佇み銀色に光り輝く水面をウットリと眺める鳥。岩の上に止まり、湖をながめる美人の?メス鳥に接近するスケベなオス鳥など様々である。

 しかしレールの彼方に気動車が姿をあらわすや、カメラ片手に急にソワソワするオッチャンと同じく、鳥たちも一斉にソワソワしはじめ、白を基調とした爽やかなカラーを装った気動車が駅に到着するや、水面から、空から、食事中であろうが、トイレ中であろうが大急ぎで気動車に殺到するのである。
 それは、それは、賑々しいお出迎えである。 地元でも大人気のこの愛らしい鳥たちに、手に手にエサを持っては、日がな一日、一家総出で大人も子供も、次々とこの駅へ見物に訪れるのである。        

 キラキラと輝く水面を眺めつつ‘ああ、この穏やかで平和な日々が永久に続きますように…’と願うオッチャンは、ふと顔を空に向け、両ヒザをホームにひざま着き、ヒシッと両手をあわせるのであった。

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上3点◎浜名湖佐久米駅
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上2点◎三ケ日~都筑

  ◎天竜浜名湖鉄道(2004.01.02~2005.01.02撮影、Cr/2007.09.11)


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