オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:W-007列車
伊予の初春

no.007●13.01.15
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 伊予といえば伊予柑と反射的に柑橘類を連想するほど、伊予は温暖な地であり、どんな真冬であってもポカポカと日射しは春である。

 古代からの交通路である瀬戸内に面し、また伊予灘をはさみ古くから栄えた北部九州にもほど近い松山市は、つねに先進文化の影響をうけ、きわめて高い文化的地域として発展した。
 松山市周辺に鉄道が敷設されたのも早く、明治21年、伊予鉄道により松山~三津浜(現在の三津)間が開通した。三津浜はあの‘坊ちゃん’が東京から赴任したときに着いた港である。

 この鉄道の開通後ほどなく建築されたこの駅舎は、日本最古の木造駅舎といわれる。
 決して著名な建築家による設計ではないが、当時、世界的に流行したアールヌーヴォーの影響をうけた曲線の多用と、和風アレンジとも云える鉄やガラスを使わない木造のモダニズム建築など、温厚なそれでいてモダンな印象をうけ、穏やかな瀬戸内に近い海辺の明るさと汐の匂いが不思議な開放感を感じさせる。

 一歩駅舎に入ると、ほのかに暗い室内に入口上部のあかり窓から陽の光がさしこみ、改札口にむかう可憐なうら若き女性がフッと幻想的に浮かびあがる。そして手に持つビンをよくみると‘オロナミンCドリンク’だったりするのである。

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 オッチャンはここで態度を一変する。
 イッタイここで元気を付けてどうするのだろうか!これから会う彼氏に何を求めようと云うのだろうか!
 かわゆいお姉さんだからこそ、オッチャンは激しく追求したくなるのだったが、ほとばしる理性が辛うじてそれをくい止めるのだった。

 ツラツラ思うに、これらの情景をすべてひっくるめて‘伊予の松山’なのだ。可憐な女性も育てば、柑橘類も育つ温暖な気候。どこからとなく吹くさわやかな汐風。それらをジンワリと感じたとき、この温かい伊予の風土を深く納得したオッチャンであった。

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  注)平成21年、この駅舎は廃止され現存していません。
  ◎伊予鉄道・高浜線 三津駅(2003.01.01撮影、Cr/2008.07.02)


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