オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:A-002列車
謎の十三

no.002●12.11.09
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 梅田駅を発車した阪急電車は程なく大河淀川を渡る。
大阪湾に沈む夕日は川面を太古の昔と変わりなくキラキラと神々しく輝かせる。

「日本書紀」によると初代・神武天皇は九州・日向より船団を組み、遥か東方の豊曉の地、大和国の制圧を目指し進撃を開始した。
 古代の海面は現代よりかなり高く、今の大阪平野の大半は河内湖と呼ばれる湖で、それは上町台地の北端で大阪湾と繋がっており、東の端は生駒山脈の山裾に達していた。
 神武船団は瀬戸内より水路、目的地とした生駒山の麓に到着したが、現在の“くさか坂”あたりで大和の在地勢力、トミノナガスネヒコの抵抗にあい激戦の末、敗退する。
このナガスネヒコ、現在の奈良県の富雄を中心に勢力を持ち、後の大和政権の軍事氏族、物部氏の祖であるニギハヤヒの義弟にあたる。

 ところで阪急電車に十三と云う駅がありジュウソウと発音する。
考えてみれば不思議な名称である。オッチャンは子供の頃より、ずっとその由来を知りたいと思っていた。

 その十三に関西一の美人揃いと評判の福娘につられて、鼻の下をナガ〜クしたオッチャンが毎年詣でる十三戎神社があり、なんと“トミエビス”と発音するのである。
 つまりジュウソウとはトミだったので有る。
ホーゥ!と鼻息荒くオッチャンは鋭く推理するのである。
いにしえのナガスネヒコの登美の国とは、大阪湾の東、生駒山を奈良側に越えた地にあり、ここから義兄ニギハヤヒの本拠地、交野の磐船神社を過ぎここ大阪湾の北方にまで至る、広大な地域を有する氏族で有ったと。

 いや、ある説によるとニギハヤヒとは、日本で最初の国家といわれる神武王朝以前の物部王国の王であり、神武より更に百〜二百年前に同じ朝鮮半島より渡来。
日本の縄文時代人との連合国家を築き、その勢力範囲は遠く北海道にまで及んだとも云われ、現在でも“物部”の地名は全国に100ヶ所は有に超えるという。

 ナガスネヒコに敗れた神武軍は海路遠く紀伊半島を迂回、熊野より再上陸し大和の地に向かい過酷な道なき道を踏破せざるを得なかったのは、ひとえにこの物部王国が、強大な力を持っていたが故では無いかとオッチャンは想像するのである。

 さて現代の淀川鉄橋。
晩秋の夕日は敗走する神武軍の残像を今に偲ばせ、はるかな時代を超えて今日もきらきらと神々しく輝き続けるのである。
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 ◎阪急電鉄・京都本線(2007.11.17撮影、Cr/2008.09.03)




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