オッチャン鉄ちゃんの足のむくままタイトル
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旅めぐり脱線百話:A-001列車
夏の置きみやげ

no.001●12.10.23
メイン001写真
越中国分~雨晴

「さよならおじいちゃん、またくるからね…」
去り行く孫の涙声を聞きながら、キハ58形の赤いディーゼル車が
小さく見えなくなるまで、目に一杯の涙をためたお爺ちゃんは
いつまでも見送り続けるのだった。
お婆ちゃんは家の玄関先で涙ながらに
「駅にはお爺ちゃんが見送りに行って…」
と言って家の中でいつまでも泣いていた。

夏の初め、娘が嫁ぎ先の埼玉から連れて帰った孫のハルオは
大の鉄ちゃんだった。
「おじいちゃん、うみのちかくへ、
ディーゼルカーの絵をかきにいこうよ」
ハルオは目がさめると、毎朝のように言った。
「よし。ハルちゃん。今日も上手く描けるかなぁ」
麦わら帽子を被り、波の音と蝉の声の降る中を、
おじいちゃんと一緒に毎日毎日、ハルオは汗だくになりながら、
大好きな赤いキハ58を描き続けるのだった。

001_2写真
雨晴駅付近


青空にトンボが飛び始め、微かな秋の気配が漂う頃、
埼玉からお母さんがハルオを迎えに来た。
「おじいちゃん、またディーゼルカーをかきにいこうね。
おばあちゃん、またくるよ。ばいばい」


…やがて季節は移り、海辺からの秋風は壁に貼った
何枚ものハルオの描いた絵を、
パタパタと小さな音をたて吹き抜けるのであった。


001_3写真
氷見駅


 ◎JR氷見線(2004.08.25撮影、Cr/2008.12.19)


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