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第三章#3タイトル
 
 
ーこちらは、藤本さんが休日に建てられた家なんですよね。
 
藤本   切子やってる工場はですね。
 
ー藤本さんが建てられたんですね。
 
藤本   えぇ、友達に大工がおって、
田舎から木もろて来るさかいにって言うて。

私より二つ下かな。
休みの合間合間に行ったげるわって、墨してくれるたんびに
半分だけの小屋作ったかなぁ。
長い間かかりましたけどね。

近所の人は私の事、大工さんやと思ってたようですね。
休み休みに自分の家を建ててましたからね。
 
ー切子だけやなく、工場まで作ってしまうんですね。
 
藤本   いやねぇ、親父と水車小屋造ったりねぇ、
親は大工道具一式持ってたんですわ。
 
ーあぁそうですか。
 
藤本   親はどっちかいうたら器用な人でしてね。
お寺の修理やとか、近所の家の修理やとかね、
あったら行ったげてましたわ。
そんなん見て、大工仕事は大体のこと知ってるからね。

親方の家におる時、日曜日になっても遊びに行かれへんさかい。
間あったら土地探すのと、
建築現場あったら自分でどういう家造ったろかと、
そればっかり研究して歩いてましたからね。
 
ーそんな若い頃からそういうことをかんがえてこられたんですね。
 
藤本   なんとかしやんことには、と思ってね。
 
ー奥さんも家のことキッチリしてはった方なんでしょうね。
 
藤本   これね、亡くなる半年ほど前(平成22年8月)の写真なんです。
 
第三章3-1写真
 
藤本   コバルトブルーさんで作品展やっていただいて、
その打ち上げのときの写真なんです。
 
ーいい写真ですね。
 
藤本   どんな悪いことでも良い方に良い方に解釈する人やったですわ。
だからね、私にしたらこの人の考えものすご違う思て。
高校上がってから百姓もしてるし、
ということでいっぺんに気に入ってしもて。
どうあっても思て。
 
ーひと目惚れですか
 
藤本   ええ、ホンマにそうですわ。

戦後間もない頃の暮れに、家内の兄さんがタクシーの運転手でね
勤めに行っとったもんやから、
その運転手仲間に私の一番の親友がおったんですよ。
その親友がこの人の妹さんやったら大丈夫やろうって
言ってくれたんが家内やったわけですよね。
 
ーホンマにひと目惚れですね。
 
藤本   そうです。
いつも一緒にいました。
一緒に楽しんでね。

ちょうど結婚して25年の銀婚式のときも北海道一周旅行しましてね、
一緒に働くけど、楽しむのも一緒に楽しむとね。
絶対二人でないと外へ出ないんですわ。
 
ーすばらしい。
 
藤本   旅行もね、趣味になったいうのもね、
私大体軍隊行ってるさかい、二年にいっぺんずつ集まるようになって、
そこの県のもんが主催して夕方現地に集合して一晩泊まって
観光してもう一晩泊まってあくる日帰るいう予定で
日本全国に行ったんですよ。

ほとんど地方地方にいますからね。
そこで行って良かったとこを今度は家内連れて行くんですよ。
 
ーなるほど〜
 
藤本   一回行ってるからわかるでしょ、そしたら気遣うことないでしょ。
 
ー藤本さん、結婚されてからズーッと奥さん大好きやったんですね。
 
藤本   ハハハハ
だからちょっと先に死なれたんが心残りやけど。

若い頃お姉さんが炊事して、家内が百姓ばっかりしとって
炊事の事ちゃんとでけへんかったから。
生きとるときに
「もしも、私、お父さんにコロッと逝かれたら、
美味しいものを食べさせてやれんなんだ。それが一番心残りや」って。

今はその代わりに娘が来てね、色んなもん作ってくれてます。
 
ーそうですかー。
 
第三章3-2写真
 
 
藤本   家内が亡くなってからね、娘が冷蔵庫に入れてくれてるんです。
「お父さん酒の肴にしいや」ってね。

色んなもん作って帰ってくれるもんやからね。
有り難いですよ。
その時々でね、「お父さん今日はおでん作っとくわな」とか
色々作っておいといてくれるさかい。
 
ーいいですねぇ。良くできた娘さんでらっしゃいますねぇ。
 
藤本   ええ、有り難いです。
 
第三章3-3写真
 
ーお近くに住まわれてるんですか。
 
藤本   河内長野です。
週にいっぺんだけ自分の家の用事全部して、
10時までにウチに来てくれますやろ、
そこから1時すぎぐらいまでに八品から十品ぐらい
作っていってくれますねん。
 
ーそうですかぁ〜。
 
藤本   有り難いことです。
 
ー私が藤本さんと初めてお会いさせていただいた時に感じたのが、
  藤本さんの笑顔は何処からくるんだろうってことだったんです。
  それは思いやりのあるご家族に囲まれて自然と生まれてきたんですね。
 
藤本   いやぁハハハハ自分のことは分かりません。ハハハハ
有り難うございます。
 
第三章3-4写真
 
ー今一番したい事はなんですか。
 
藤本   う〜ん、やっぱり仕事が一番したいです。
人さんが喜んでくれるようないいデザインが出て来ないかなって。
ハハハハ
 
ーまだ、もっといいデザインを作ろうと…。
 
藤本  

はい。ハハハハ
それが一番楽しみ。

これね、ぐい飲みの無地ですよね。

 
第三章3-5写真
 
ーはい。
 
藤本   絶えずここにどういうデザインにしたら合うかなって。
そういうところに神経が行くところです。
 
ーほぉ〜絶えずそういうことを考えておられるんですね。
 
藤本   ハハハハ
それが一番楽しいんです。
 
ーすばらしい。今幸せですか?
 
藤本   ん、フフフフ
歳とともに今が一番幸せやないかなって思います。

子供の頃から苦労の連続やったですけども、家内と結婚してからは、
その時その時でエエ時ばっかりやったと思います。

案外カナンことに合うてませんねん。
まぁ娘がいっぺん病気して入院したことあるけども、
命に関わる病気やなかったから。
息子が交通事故を起こしたこともあったけど、
それきっかけにようしてくれるようになったしね。
嫁さん連れて帰って来るときはなにもしませんけど、
一人で帰って来るときは
「お父さん、ボクなんもでけへんけど掃除だけでもして帰るわ」って。
 
ーあらぁ。
 
藤本   小さい頃から家内が躾けてくれてましたからね。
お風呂の掃除もお便所の掃除も何もかも拭き掃除も
ちゃんとして帰ってくれます。

私、助かりますねん。
やっぱり一週間にいっぺんずつ帰ってきてくれるからね。

最初は親一人で寂しいやろから週にいっぺん
帰ってくれてるんやなって思ってたんやけど。
「そんなに毎回帰って来んでもエエで」って。
でもキッチリ週にいっぺん帰ってきてくれます。
 
ーお幸せですね。
 
藤本   はい。

有り難いです。
私の作ったもんもね、
コバルトブルーさんとこで販売してくれはるし、
ANSANというところではネットで販売してくれてはりますし。
みんな連携してくれてます。
 
ーいいですねぇ。
 
藤本   はい、あれぐらいの人数でやってはるところやから、
いっぺんにカァーって無理する仕事が来なくてね。
身体も痛いとこもなしに。
ほんまに幸せにさせてもろうてます。
 
ー藤本さんのお仕事に、人柄に、いい人たちが集まって来られるんですね。
  これからもご無理なさらず、美しい作品を私たちに見せてください。
 
藤本   ありがとうございます。
 
ー長い時間、本当にありがとうございました。
 
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