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西尾さん顔   ワタシらんとこ昔は小売屋やなく卸でしょ。
ダースナンボで安い値でやってるもんで。
一本一本修理とかやってられしまへんでしてん。

でもね今小売屋さんやってわかるけど、
売るには書けるようにして渡さんといかんし、
と言ってインク入れてもうたらアカンし。

そんで売ってからもこここうでした
ああでした言うてクレームも来るし。

それはまあ、なおすんやけどね。
カンタンになおすから修繕代貰われへんけどね。
ハハハハ
正直言うてね。
   

ーー

それもなんかね。

西尾さん顔 「わかりました、預かっときます」と
一週間程って言うたら
お金もスッと貰えるんやけど。

ハハハハ

西尾さん顔   そのお客さんに
「どっから来はりましてん」って聞きますやろ、
「いやぁ神戸から来てまんねん」
「姫路から来てまんねん」
「滋賀県の近江から来てまんねん」
言うてんのに、
ほな預かっときまひょかって言われへんわ。
なおせるもんはススッてなおすんや。

だいたい書けんようになってるんは
ペン先にインクが溜まってもうて
インクが伝えんようになったりする。

ーー

ヘーッ!

西尾さん顔 ペン先言うのはここピャッて抜くでしょ。
そして刺し直したらだいぶ違うんよ。
あんたら真似したらアカンで。

ハハハハ それで温めてやったら…


温めるとここのエボナイトいうのは
先が軟らこうなってきよるわ。

それならスッと入りよるわけ。
あんまりカンタンに入りよるヤツは
ガサガサでインクが洩りよるヤツやわ。
ハハハハ

せやからある程度硬くて、
でもメチャクチャ硬かったら入れへんから
最後まで入りまへんねや。
やっぱりキチッと入らんことには。
3-2写真1

3-2写真2

ーー

そこがセルロイドやったら温めるときに
燃えてしまうんですね。

西尾さん顔 そやここだけエボやねん。

ネットで見ましたわいう人が来はってね。
頼んだわけやないのに。

ーー

こちらで買った人がネットに載せてましたね

西尾さん顔 そうでっか、それはあるやろな。
でも自分で売ったのはようわかる。
自分で売ったヤツと、夜店やないけど
四天王寺のなんやら市やらで買うて来た
言いはるインクの書かれへんヤツな、
シュシュシュってなおすもんやから。

ハハハハ

西尾さん顔   前にウチの万年筆を夜店か市かで
買うてくれはった人が来はって。
「修理してください」て、それを出しよったから
「あぁなおしたげまっさ」言うて
スススってなおしたげたんや。
ほんでお金もうよろしいわ言うて
貰えへんかったんや。

ほんだらまた来よったんや。
ほんでこれをすんまへん言うからな。
「これはもうウチのとは違うねんからな、
お金貰いまっせ」言うたら
「もう要りませんわ」言うて帰りよった。

ーー
 
えー!

西尾さん顔   そんなヤツもおんねん。
そんなん、気のええオヤッサンやから、
前タダで治してもうたから
今回もいけるやろってもんやわね。
せやから、タダも良し悪しやね。

ーー
 
ホンマですよ。お金とってくださいね。

西尾さん顔   ホンマんとこ言うたらね、
こんなん2000円で売るような
モンやないからね。
ワタシの得意先が
高う売ってはんねんからネットでな。

ーー
 
そうでしょうね。

西尾さん顔   そうそう、昔、東京からね、
ウチに1ヶ月程修行に来よったヤツおったわ。

ーー
 
へえ

西尾さん顔   修行に来よった言うたって、
ちょっと教えてくれって。

こういうパソコンなんかは上手い人なんや。

ハハハハ

西尾さん顔   しやけど万年筆の「ま」の字もわからへん。
そんな人が、万年筆ってどういうもんやって
本とか書いたんやな。
ワシが言うようなこと、
ちょっと見てロクロやってみて…。

そんなん全然あんたなぁ、
万年筆の修行言うたかて、
軸一本引こう思てもカンタンに
引けるもんちゃうんやけどな。
そんな人おったわ。

また、絵書きはる人とかも
「なおしてください」って持って来はったわ。
太書きと細書きとあってな
ものすご流行ってるみたい。
もう3人4人と来た。

それとペン習字の先生。
ウチ来はった先生は手紙くれはったけど、
ほらもう上手いわ。
ワシよう返事書かれへんかったけど。

ハハハハ

西尾さん顔  

そりゃ上手いわ。
やっぱり万年筆の好きな人は
ボールペン使われへん。

万年筆いうのんはナンボ高い金出しても、
調子の悪いヤツは調子悪い。
ナンボ安ぅても調子のええヤツは調子ええ。
書きモンやからペン先がやな、
ウチ作ったわけやないけど、
たまたま研ぎのエエヤツとかね、
ほんでこういうヤツは手に馴染んで来よんねん。
というのは減るのが早いわけ。
はじめは引っかかっとんねん、
それが使てるうちにダンダンダンダン
滑りがようなってきよるんや。
手に馴染んできよる。


ーー
 
なんか筆圧が百均の安もんの方が
おうてる時もありますもんね。

西尾さん顔   そうそうそう、
そういうのが結局万年筆と言うもんは、
ペン先が立つでしょう。そのペン先が命。
書きやすいんは。

軸のインクが入らんとかそんなん関係ないねん。
一番問題はペン先。
なんぼ金ペンはええな金ペンはええな
言うたって研ぎの悪いヤツはアカンわな。
金ペンの場合は腰が字書くのに、
圧いうのかな。
ペン先をこれできゅっと抑えてペン先をね
書かなわからん。

最近はあんまり書かしてくれへんらしいね。
買いにいっても。
並べて置いたあるサンプルは
書かしてくれはるわね。
買いたいサラの現品は
書かしてくれへんらしいね。
3-2写真3

ーー
 
サラは書かしたらアカンのでしょ、
いいんですか書いて。

 
西尾さん顔   そんなんカマヘン。
書かす用のペン軸や。

ーー
 
あぁ。

西尾さん顔   あれなんで書かれへんのやろ。

ーー
 
え!

西尾さん顔   あ、割れてるわ。これは書かれへん。

ーー
 
え、どういうことですか?あぁ欠けてる!④

3-2写真4
西尾さん顔   欠けてるでしょ。これだと書けないね。


ペン先言うたらな、 昔、万年筆をな
一本買うてもってきたオッサンがおったわ。
あれはね、ペン先屋のプロや。

ーー
 
へぇぇ。

西尾さん顔   見に来よったんや。
ほんでこれ引っ掛かる言うてきよってん。
ほんでワシ言うたってん。
砥石もってな
「これであんたやりなはれ」って。

ーー
 
おぉぉぉぉ!

西尾さん顔   見たら分かんねん。長年やってたら。

ーー
 
オレを誰やと思ってんねんと


ハハハハ

西尾さん顔   そうそうそう。 何しに来たんやって。
探りに来とんねん。
見てたら分かるんや、

ペン先の研ぎ方の上手なこと。
あー、これはプロやなって。
ほんで「これは何か引っ掛かる」言うから、
ビャって開けたってん
(ペン先のストックが入っている棚)

「そこにペン先あるから好きなヤツ
よってゆけや」言うたってん。
3-2写真5

ーー
 
カッコエエ〜

西尾さん顔   そんなん見たら分かるがな。
そしたら「砥石がええねん、砥石がええねん」
言うわけよ。
ほんでワシが素人や思とるねん相手はな。

ペン先透かして見て
「これ端かけてまんねんなぁ」言いよんねん。
せやから「揃ったヤツつけなはれ」言うたら、
「よろしいですわ、こりゃ参った」
言いよったわ。

ハハハハ

西尾さん顔   な、始めから言えばもう少し話ができんねや。
どこのメーカーかしらんけど
どこぞで万年筆一本買うて持ってきて、
先がどうのこうの言いやがったから…。

絶対知っとんねん。
知っとって未熟なヤツをバカにしよんねん。

ーー
 
それを言いたくてしょうがない。

西尾さん顔   そうそうそう。
怖じ気づきよんちゃうかなって。
そんでこういう付属品が揃うところが無いから、
この棚見せたったらビックリしとったわ。

ーー
 
そうでしょうね。

西尾さん顔   おそらくメーカーの修繕専門の人やろね。

ーー
 
何で偵察に来ますのん。

西尾さん顔   やっぱ聞くんよ、テレビ出てたでって。
お客さんってあっちこっち行くやん。
そこで聞いたんやろね。

そんなん万年筆のことやったら
話できるんやから、普通に話せばええのに。
そりゃどこそこのメーカーの誰それさん
知りまへんかって言われたらわからんで。

ハハハハ

西尾さん顔   メーカーの人なんてみな東京やからね。
今のメーカーのモンなんて
みんな東京から来よるんやから。

ーー
 
東京から来たんですか?

西尾さん顔   そりゃメーカーの万年筆屋はみな向こうや。
関西はモリソンとかネービーとかあるけどね。
東京なんかみな高い値で売っとるらしいやん。