もうれつな人たちヘッド1mouretsu.netホームへもうれつな人たちヘッド2
もうれつな人たちヘッド3もうれつな人たち表紙へもうれつな人たちhazimeniへもうれつな人たちvol.3第一章ページへもうれつな人たちvol.3第二章ページへもうれつな人たちvol.3第三章ページへもうれつな人たちvol.3番外編ページへもうれつな人たちvol.3西尾製作所ページへもうれつな人たちvol.3取材を終えてページへもうれつな人たちヘッド4
もうれつな人たちヘッド5
もうれつな人たち第一章タイトル

西尾さん顔   関西はセルロイドが本場なんよ。
昔は眼鏡とか筆箱とかみんなセルロイドでしょ。

そんな時代は研磨屋さんにしても
セルロイドやってはるメーカーもあれば、
研磨する会社もあり。

ペン先はペン先でコレ作るメーカーが
あったりね、個々にあったんですわ。
それだけ業者が多かったから。

もちろん輸出とかそういうもんで、
どんどんどんどん数が出るもんやからね、
それだけで飯が食えたわけ。

まして万年筆やから、
まぁ一応高級の部類に入ってたんや。

しやから小さい時なんか。
まぁ入学祝いとかなんかの祝いに
万年筆貰うのが楽しみやってんねぇ。
高いもんやっていう先入観があったし、
また高かったから。

そんな中、昔は露天商がようウチに
買いにきてましたわ。
 

第二章メイン写真


ーー
 
そうなんですか。

 
西尾さん顔   難波の髙島屋の前で、絵売ったりしてても
怒られへんかった時でねぇ。

しやから商店街でメインストリートの前で
商売するお客さんが、
まぁ寅さんやないけど、あぁいうテキ屋さんが
講釈叩いて人集めてね、万年筆も売ってたわ。

「三丁目の夕日」って映画な、
あの時の万年筆、ウチの万年筆やで。
 

ーー
 
え!そうなんですか!

 
西尾さん顔   ウチが出したんちゃいますよ。
インターネットである人が出して
提供したんですわ。

あの「パーカーの偽もんや!」
言うてたそうそう。
昔はねパーカーの偽もんは日本も
作ってたんですわ。
 

ーー
 
これ、それっぽいですね。

 
西尾さん顔  

横縞のね。 それがコレやねん。
見てみはったらピカーって光ってまっしゃろ。

昔、露天でね。
自分とこの会社が火事で焼けてしもた言うてね、
ビニールの袋に、焼け残った商品やって、
新品の万年筆を付属品の壊れた万年筆と
一緒くたに混ぜて、その中に「くすばい」
入れてねぇ。

会社が火事になって大変やったって、
商品はええもん作ってたとか講釈たれて。

そしたらその「くすばい」の中に手突っ込んで
かき回すと
「お!こんなええもん出て来た!」
とか見つけたって感じで言うてねへへへへ。
それを「泥万売り」って言うんですわ。

そこにサクラもいとるし。
これはええわけや。

  2-1写真1

ハハハハ

 
西尾さん顔   ほんまに「三丁目の夕日」の2で
子供が出てきた時とまったく一緒。
 

ーー

なるほどぉ〜。

 
西尾さん顔 もっと大きかったけどね。
もっと上手に喋るわな。
あんな子供がじ〜っとしてるいうのは
なかったわな。
もっと人を寄せ付ける、寅さんやないけどな。

まぁあの、万年筆のテキ屋さんいうのは
超一流やで、やっぱり。
バナナの叩き売りと一緒や。

今の万年筆は軸の太さが一定で、
ペン先が太書き、中字、細書き
というように3種類に分かれてるけど
それはもうペン先作るのに、
軸を作る人が少ななってきたから
成型で作ってるからね。

職人さんいたはるんですよ。
いてて、作る人がね。
大阪はもうほとんどおらんようなって
きましたけどね。
加藤さんっていうのが、
え〜あそこ、東急ハンズかな、
ああいうとこで売ってはった。
百貨店も入れてはったけどね。

関西でもねモリソンとか、バンコいうのがね、
ご存じないと思うけど…
そりゃないわなハハハハ。

学校で今はコピー機があるけど
昔はガリバン刷り言うてね、
ガチャガチャ刷ってたもんですわね。
その機械を作ってたバンコってメーカーも
万年筆やってたんですわ。

ほんでシャープもそうなんですわ。
もともとその名残があるんですわ。
歴史は古いんやけど、万年筆そのものの
需要がこんだけ無くなるとは思わなかったし、
こんだけ大量にできるとは思ってなかったし。

万年筆は一本持てばペン先換えていけば
なんぼでも使えていけるもんやってん。
せやからウチらの万年筆を
手作りする職人さんは、
「あしたからパートできます」言うたかて
できるわけやない。
やっぱりボンサンに入って住み込みで
一生懸命に働いて…。

ワタシは働かんけどここの
オーナーの息子やからハハハ。
仕事は嫌いやけどね。
 

ハハハハ

 
ーー   でもやられてたんでしょう?

 
西尾さん顔 そらぁやってましたよそらぁ。
やってるから作れるんで。
ワタシの作ったやつはひょっとしたら
インク漏れがするかもわからんけど。

 

ハハハハ

 

ーー
 
その当時、
万年筆はやっぱり高かったんでしょうね。

 
西尾さん顔 昔のアレやから、そんなにアンタ目むくほど
高いことないですわな、今思てみたら。

輸出とかあんなん安いでしょう、
大量にやらなアカンから金メッキとか
やっとったらアカンねんな。
鉄のクリップで安もんのヤツやって、
電解メッキ言うてね。
メッキ屋さん行ったらわかるけど、
なんや液入れるんやね。
電機でガラガラガラって回してやってね。
それを「ガラメッキ」って言うねんけど。

せやからここの中のビスも色々あるわけ。
大きいやつとか。
ま、太い軸やら細い軸、
沢山太さにも種類があるから、
ものスゴ付属品いるんですよ。
今はそんなんせんでもね、
黒一色で、付属でも中国とかから
仕入れてやってはるからやね。
高い商品は、金、赤いような黄色いような
金バリとか吟味して、そういうのん使って
いつまでも使ってもらえるようにしてるんやね。
昔は万年筆は高いもんやから大事にもって
はるからね。





 
西尾さん顔 ワタシ二代目なんですよ。  

ーー

あ、そうですか。

 
西尾さん顔 せやからワタシは高校ぐらいからね、
やりだしたんです。
まぁ大分遅いんですね歴史は。
それでも60何年になるんやから。

その時は元々は万年筆屋というよりも、
ウチのオヤジはブローカーみたいなカタチで
文具屋をやってたもんで。
で、まぁ身上を潰して。

製造するということに対しては
はじめてなんですよ、ウチのオヤジもね。
見まねでやりだしてね、

ウチのオヤジはようやらんけどね、
ワシの兄貴が二つほど年上なんですけどね、
あの人器用なんですよね。

やっぱり兄弟でもね、器用なもんと
不器用なもんといてましてね。
頭のエエやつもおりゃ、
アホみたいなやつもおって。

ワシは秀才の方や…
 

ハハハハ

 
西尾さん顔   仕事はでけへんけど口だけは回るほう。  

ハハハハ

 
西尾さん顔   職人さんが仕事して、
ワシじーっと遊んでるわけイカンから、
主にそういう仕事をね回すいうか、
外職に仕事してもらうように。
ウチだけでなしによそにしてもらわなイカン
仕事もたんとあったから。

というのは、型締(かたしめ)いう
サブロクやサンパチの太さの外径だけ
セルロイドから切って。

セルロイドは買うんですよ。
その長いやつを持って行ったら、向こうが
切ってカタチで押してくれるわけですわ。

それを持って帰って来て、
ほんでロクロにかけて、
出来上がったやつを今度は研磨に
持って行くんですわ。

ほんで研磨屋からあがってきたやつを
クビいうて(首軸)。

これは自分で引くわけ。
これでペン先と合わせていくんやね。

これうちの全財産!
  2-1写真2

2-1写真3


ーー

オォオオ!

   
西尾さん顔 これはエボナイト、
これはね非売品として並べてたん。
  2-1写真4

ーー

高いんですか?

   
西尾さん顔 そんな高いってわけやないけど。    

ハハハハ

   

ーー
 
太いですね。カッコいいですね〜

   
西尾さん顔 せやから非売品や。
   

ハハハハ




   
西尾さん顔   大阪で万年筆が良かった時に、
知り合いの人から事情があって
金回り悪なってきたときに手形割ってくれだとか。

ウチのオヤジさん高利貸しやないけども、
頼みに来られたら仕方ない。
担保に商品もってこいと言うてたんよ。
ほんならその人も商品流す気はあらへんから
返そうと思ってはんねんからな。
担保になるわけよ。

木箱に入ってある商品、
ボンボンと持って来て。
そんなんやないと金貸さんちゅうて。
ま、そりゃそうやな思て。

ワシやったら「あぁそうでっか」言うて
信用してまいまんねんけど。
  2-2写真0

ハハハハ

   
西尾さん顔   そりゃぁオヤジの時はそれですんだわい。
自分がやるようになってからね。

東京にある人から呼ばれてね。
長年の勘やねぇ、
オヤッサンと一緒にいてる時から
悪いヤツが騙しにしょっちゅう来とったからな。

せやから行ったらなんやもう
品モンも無いのに、ワシの顔色ばっかり見てね、
ほんで「社長、歌舞伎町にいきまひょ」
言うんですわ。
行ってみたら女の子指名してくれよって。

これ絶対アカン思たわ。
ワシ自分の分払て帰った。
向こうは上手いこと釣った思たんやろね。
自分で金払て帰ったんやから大きい顔して。
   

ハハハハ

   
西尾さん顔  

奢ってもうてたらそうはいけへんけど。

ほしたら案の定アカンかった。
引っ掛けるヤツは分かるね。
テキ屋が出入りしてた関係からか、
その裏っていうのは知ってたから、
経験ですわな。