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第五回
 小さき世界の五重塔。
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五重塔の土鈴(ごじゅうのとうのどれい)【室生寺/奈良県、宇陀市】
 深山幽谷に囲まれた室生、この地は龍神信仰が盛んであった。近くには龍穴とよばれる洞窟もあり、古くは龍穴神社の神宮寺として、この寺は龍王寺とも呼ばれたという。そして女人にも門戸を開いた「女人高野」の名にふさわしく、建物、仏像、諸々の細部に優美な姿を見いだせる。
 その一つ、室生寺最古の建造物である五重塔は、階段下から眺めると大きく優雅だが、実際は高さは16.1mと小さく、間近で見るとその可愛いさに驚く。平成10年の台風で著しい損傷をうけたが、全国からの寄進を受け現在は美しい姿を取り戻している。その塔をかたどった素朴な土鈴、じっと眺めていると水墨画と同様に、意識は中に入り込み小さき世界に迷い遊ぶ感覚が立ち上がる。それが験なのか。ここはいつ来ても、観光と信仰が良い加減に入り交じり、本当に気持ちいい。また金堂前庭の右手、軍茶利明王の石仏も不思議な可愛さがある。

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