ノスタルジック映画パンフのお話タイトル
mouretsu.netホームへ話し手 すかたん有留夢
第6回
2014.04.24
明日に向って撃て!写真
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4冊めは『明日に向って撃て!』。原題は、「Butch Cassidy and the Sundance Kid」。1969年のアメリカ映画。アメリカン・ニューシネマの傑作と言われる、新感覚のモダン・ウェスタン。実在の2人組の強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの物語。監督は「モダンミリー」のジョージ・ロイ・ヒル、脚本は「動く標的」のウィリアム・ゴールドマン。撮影は「冷血」のコンラッド・ホール、音楽は言わずと知れたバート・バカラック、衣装をイーディス・ヘッドが担当。製作は「レーサー」のジョン・フォアマン、総指揮、ポール・モナシュ。
出演は「ハスラー」「動く標的」のポール・ニューマン、「追憶」のロバート・レッドフォード、「卒業」のキャサリン・ロス、「ワイルドバンチ」のストロザー・マーティン、「勇気ある追跡」のジェフ・コーリー、テッド・キャシディなど。
主演のポール・ニューマンがイメージ・キャラクターに起用された1981年の日産スカイラインのCM。花束を片手にスーツをビシッときめたポール・ニューマンがかっこよく、バックに流れていた弾むように軽やかなミュージック。それが、この映画の有名な挿入歌、B.J.トーマスが歌う、「雨にぬれても」(Raindrops Keep Fallin' on My Head)でした。バート・バカラックが手掛けた「明日に向かって撃て!」のサントラは、素晴らしく、音楽無しではこの作品は語れません。この作品においてはバート・バカラックが映画の影の主役とも言えるのではないでしょうか。
『明日に向かって撃て!」は、時代考証に凝った紛れもない西部劇でありながら、西部劇感覚の薄い作品です。映像が、柔らかい光に満ちた、スタイリッシュで現代感覚に溢れていて、同時に主人公たちのキャラクターが、他の西部劇とかなり異なっているからです。まさしく新感覚のモダン・ウェスタンと言われる所以です。彼らは、ウィスキーではなく、ジョッキのビールを飲んだりワインで乾杯したり、馬ではなく、自転車に乗ってみたり、さらには、粋なスーツに身を包んで都会に出掛けて遊んだり、と垢抜けています。鉄道会社からの刺客・保安官(レフォーズ達)一団に追われる羽目になった彼らは、凄腕のガンマンであるにもかかわらず、追手を勇ましく銃で迎え撃つ、なんてことはこれっぽっちもせずに、ただひたすら荒野を逃げまわり、崖っぷちへと追い詰められると、戦わずに崖から川へ飛び込み、あくまで逃げ続けます。後半には開拓時代が終焉を迎えつつあるアメリカに居場所がなくなったことを自覚したのか、時代に対しても無駄な抵抗をせず、二人は新天地を求め、国さえも捨てて、あっさりとアメリカを逃げ出します。自転車に喜んだりしながらも、新たな時代への本質的な適応を拒否し、あくまで強盗という生業に拘泥し、ブッチの呟く「俺たちはもう若くない」という台詞と共に生国を去ってボリビアへと落ちていく(そこでも居場所を失くし、最後は官警の大群に包囲されて破滅するのですが)、己より強いものとはとことん闘わずに済まそうとする彼らのスタンスには、男のメンツにこだわらない、銃に命を賭けることもしない、従来の西部劇の主人公らしくない軽さが、爽やかで明るいモダンな感じを与えています。極めつけのシーンが、B.J.トーマスの歌う「雨にぬれても」にのせて、黄葉が美しい早朝の農場を、ブッチとエッタの二人乗り自転車が走り回る場面。放牧された牛に追っかけられたり、嬉々として自転車で走り回る、ポール・ニューマンの無邪気な笑顔は最高で、そして朝日に浮かぶキャサリン・ロスの笑顔がキュートで本当に美しいロマンティックなシーンです。ドラマの中盤、アメリカからボリビアへの逃避行を決意した二人とサンダンスの恋人エッタ(キャサリン・ロス)の三人が、乗船前に過ごしたニューヨークの情景を、セピア色のノスタルジックな写真のモンタージュで繋いだ映像と哀愁漂うバカラックの音楽が、フィットしてこれまた洒落ています。

明日に向って撃て!写真A